褒めるときは褒める

日本は他人と違うことを良しとしません。

対して、私が滞在していたベルギー周辺では、他人と違うことをアピールします。

文化の違いは住む人の行動原理に大きく影響を与えます。



日本では「出る杭は打たれる」の喩え通り、人と違うと居心地が極端に悪くなります。ひとり早く退社する時などは、とても気が引けます。そんな日本ですから「褒めて育てる」よりは「だめ!そんなことしちゃ」と叱られて育ちます。少なくとも私の世代はそうです。

子供だけでなく、社会に対しても同じ行動原理を貫きます。なにかちょっとしくじると、酷く叩く。新聞を開いたり週刊誌を開くまでも無く、誹謗中傷がこの国には溢れています。ニュースで何かを褒めている姿を見るのことがあるでしょうか。このネガティブなマスコミの指向は残念で仕方ありません。他人の不幸は蜜の味、お金になるので記事に、ニュースになります。島国ゆえの同質性がなせる業ですが、各々が違うことを認め合う、それが出来るようになるには、まだまだ随分と時間がかかるなあと思います。

さて本題です。コトは9月の末に沖縄へ旅した時の事です。Jetstarで行ったのですが、帰りの便がキャンセルされてしまいました。妻は翌日が勤務で気が気じゃない。乗客はカウンターに詰め寄ります。最終的には日航に振替えられて事なきを得ました。



その振替で久しぶりに搭乗したJAL機で、フライトアテンダントの皆さんの、心が通じるサービスを目の当たりにして、ああJALは変わったなあと思いました。何より私たち夫婦の左右に座ってらしたアテンダントのお二人が、実に心地良い対応を乗客にしてらっしゃった。ちょっと感動したので、JALのお客様センターへ手紙を書きました。

以下、抜粋です。

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拝啓

過日、久しぶりにJALに搭乗して、少々嬉しくなったのでお手紙お送りいたします。

以前、ベルギー企業に勤めていた際に東京~パリのAFを利用していましたが、コードシェア便でJAL機に乗る機会がよくありました。それは2008年までのお話ですが、その当時、JALはAFと比較しても高い品質を提供していましたが、ユーザー目線ではややスノッブな感がありました。その後のJALの経営破綻、小生も会社を変わって、JALに乗る機会は無くなりました。

先日、Jetstarに席を求めた際に、沖縄⇒成田便で欠航が発生し、その際にJAL便への振替が行われて、5年ぶりにJAL機を体験しました。JAL国内線はもっぱら11月に沖縄で行われる自転車レースのツール・ド・沖縄出場時に利用させていただいていましたが、国際線同様、FAの客対応品質は高いものの、(失礼ながら)プライドの高さがやや鼻に付く感じがしていました。

今回搭乗して、ああJALは変わった、それもとても良い方向に変わったんだなと実感しました。経営破綻後、稲盛さんが再建に奮闘され、元パイロットの社長様が頑張ってらっしゃる様はTVの番組でよくお見かけしておりました。会社更生終了、株式再上場と見事に返り咲いた鶴丸は、外から見て素晴らしいサクセスストーリーではありましたが、それは経営者の大ナタによるものとと、やや訝った見方をしておりました。

今回、客室最後列の席から、それとはなしに客室乗務員さんたちのお仕事振りを拝見して、時間が過ぎるにつれ次第に目を見張りました。「おもてなし」の心が伝わる接客、客のおもいを正面から受け止めてらっしゃるその姿勢。そしてなによりもご自身のお仕事をこよなく愛している様子、実に楽しそうにお仕事されているのがこちらにも伝わってきました。従業員が生き生きと仕事をされている、ああJALはいい会社に生まれ変わったんだなと確信しました。日本人の誰もが持つ「おもてなし」スピリット。先の東京五輪プレゼンで印象的だったこのスピリットが、体の隅々、足の先から頭のてっぺんまで行き届いているように感じました。

恥ずかしながら我家では年初からCouchsurfingというSNSで今年から外国のお客様を招いて、東京を訪れる外国人に心ばかりの「おもてなし」をしています。その見本にもなる客室乗務員の皆さんの対応に背筋が伸びる気がしました。かつてのジャパン・フラッグシップJAL。航空会社は日本の顔です。LCCには無い素晴らしいサービス、乗客に真摯に向き合う姿勢を、是非とも今後もお続け下さい。7年後の東京オリンピックが楽しみです。少々感動してしまったので筆を取らせて頂きました。乱筆乱文お許し下さい。

敬具

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ダメなものを叩くのは必要だと思いますが、良い物は素直に良い、と褒めるのも必要だと思います。日本人はそれが不得手です。残念でなりません。

人は失敗からしか学べません。成功はその成功体験ゆえ、その後の更なる成功を阻害することが多いのが事実。JALは会社が破綻して大失敗しました。彼らは学んだのだと思います、叩かれて、打ちのめされて、株主に大損害を与えて、社員に負担を強いて、そして出直して。

会社は外から見ればなにやら大きなモノに見えますが、実態は一人一人の人間です。そこで働く人が、どのようなモチベーションで働いているか、それが会社の表に出てきます。

生き物としての会社は、生き物としての人間が動かしているという事実に改めて思いを巡らしました。良いことは良い、褒めるときは褒める、そうありたいし、それを実行しようと思った次第です。

その後、JALからは丁寧なお手紙を頂戴しました。



ではでは@三河屋


次回
叱る時は叱る 国土交通省に電話する


ではでは@三河屋

参考



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