南相馬で泥掻き出しボランティア

9月1日は防災の日。その日に、福島県の南相馬市小高区へボランティアに入りました。


 南相馬市の南側は今年の4月中旬まで立ち入り禁止区域だったため、1年以上手が入らずに放置されていました。6月、7月と陸前高田へボランティアに入った時も福島のことが気になっていました。

 都民ボランティアのお知り合いに状況を尋ねたところ、元自衛官の松本光雄センター長が頑張ってますと情報を得たので、行く時期をはかっていました。

 夏休も終わって、レンタカーの予約にも余裕が出てきた(三河屋はクルマを持つのを止めた)ので、防災の日に行くことにしました。今回は今後、宮城・岩手県からこちらに支援の主力を移すかどうかの視察も兼ねてのボランティアです。

 7月に陸前高田に同行した妻が、被災地ボランティアに興味津々となり、今回も夫婦で。2時前に東京を出発して7時前に市内に到着。まずは南相馬ボランティア活動センターにクルマを置いて市内を歩いてみます。


 聞けば、住民は自宅への立ち入りは日中のみ許可されているそうで、夜間は家を離れなければいけないとのこと。早朝は無人。カラスが町の主になっています。防犯警らのパトロール車が通ります。住民の皆さんが自ら回っているよう。夜間の警らを終えて、ボランティアセンター対面の区役所に戻ってきました。そしてこちらがボラセン。南相馬市社会福祉協議会の建物を使っている様子。


ズラリと並んだ軽自動車は寄付、貸与された車だそうだ。奥に自転車も見える。このボラセンは機動力ありそう。  

この軽トラは千葉県野田市の渡辺さん提供のよう。

必要にして十分な機材が揃っている。夥しい数の草刈機が印象的。


 通常、マッチング(現場への人員の割り振り)は8:30からですが、前夜にフィリピン地震の警戒警報が出て、前泊者が夜間移動を強いられたため、9:30からのマッチングとなったため、現場入りが1時間遅れました。こちらでの作業は4時までと1時間長い。(陸前高田や気仙沼は3時まで)

 ブリーフィングがこのボラセンの特徴を現していました。センター長の松本光雄さんのハートは熱い。南相馬社共の門馬会長の人柄溢れる挨拶。そしてマッチング。リーダーを指名して、そこに行きたい人が集まる形式です。

 車道で直立不動、敬礼で各車を見送る松本センター長に手を振って、軽トラ操るリーダー車を先頭に、15人の班で作業現場へ向かいます。今日は個人宅の側溝の泥掻出しと庭の草刈に参加しました。私と妻は泥掻出しを担当。スコップで一日中、泥と格闘することとなりました。 






 普段、作業現場周辺を撮影することを自分に許していません。被災されたその地の方を思えばシャッターが押せない。それでも今回は敢えて南相馬の現状を知らせたくて撮りました。震災から1年半経とうとしているのに、なぜこの程度なのだという問題提起も込めて。

 私には「見慣れた風景」となってしまっていますが、それでも、そこで起こった惨事を想像すると戦慄を覚えます。奥が海。防波堤が決壊しています。津波が押し寄せて辺りを平らにしてしまいました。リーダーが説明します。

「目の前の300~400mの緑の荒地になっているエリアで**人の方が亡くなってます」

 東京では震災被災地惨状の風景は過去の記憶となって忘れられています。大切なのは自分の眼とカラダで被災地をライブすることだと三河屋は思います。実際に被災現場に我が身を置いて初めて分かることは多いと思います。三河屋は他人に被災地ボランティア強要はしないけど、お誘いはする。日本人として、人として。

作業を開始する前に、まずは全員で黙祷。


  

 妻がグロッキー気味。無理もありません。昨日フルに保育の仕事して、あまり寝ないで現地入りして、いきなりの力仕事です。車で寝るにはアイマスクと耳栓が有効ですが、それを忘れてきました。それよりも、興奮して寝られないんだな。気温も上昇して、炎天下の作業。男も女も同じ作業だからキツくないはずがありません。

 ボランティアで重要なのは、まず自分の身を守ること。絶対に無理をしてはいけない。そんなことは誰もが百も承知です。しかし、惨状を目の前にすると、人は我を忘れて作業に没頭してしまいます。休んでも誰も咎めだてたりしないと分かっていても。だから経験者が周囲を見回して声を掛けます。妻は一回作業を休んで、復帰しました。


 この日も別の班で救急車で運ばれる事態が発生してしまいました。被災地の方が一番心を痛めるのが、ボランティアの怪我や病気。気を付けていても起こってしまいます。それだけ自分の作業に集中してしまうのです。作業開始前、終了後にも注意喚起がしつこいほど行われます。それでも具合が悪くなる人は発生してしまいました。

 陸前高田には同じ休日に3百人以上のボランティアが集まっていた。私見ですがサポート側の人員も含めて陸前高田は南相馬の10倍程度の規模だと思います。それでも事故や、具合の悪くなる人が出る頻度が少なかった。それだけ今の南相馬が過酷だということだと理解しています。


 今日の15名の班では、女性は2名の構成でした。このボラセンの特徴は女性が少ない。センター長の姿勢もあって、従って超がつく硬派な印象です。リーダーには猛者が揃っていました。


松本センター長が、このボラセンを端的に表していると称したTシャツです。これもここに通う有志が作ったものです。各々のボラセンには人柄が出ます。このボラセンをNHKの「あさイチ」で知った人も多いと思います。画面に映ったセンター長の熱心な姿勢には心を打たれました。そのままの人が目の前にいました。

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 さあて、作業が終われば「おつかれさま~」で笑顔で散会です。帰りの温泉が心地よかったあ。はらまちユッサのアルカリ温泉は最高。センターで400円(通常700円)になる割引券を買い忘れたのが唯一の失態。また行くぞー!


ではでは@三河屋

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